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村松 壽晴; 村田 正幸*
PNC TN9410 92-106, 354 Pages, 1992/04
高速増殖型炉「もんじゅ」の性能試験期間中の炉心構成条件を対象として,定格負荷運転状態からの自然循環移行過程の解析を単相多次元コードAQUAを用いて行った。ここでの解析の目的は,AQUAコードが持つ最新オプション(高次差分法,応力代数式乱流モデル,ファジィ適応制御手法等)を用いた詳細3次元解析を行って,自然循環試験を実施するに当たっての熱流動現象上の留意事項あるいは知見等を摘出することにある。得られた結果は,以下の通りである(1) 自然循環試験開始前の定格負荷運転状態を模擬した解析では,定常的に大きな軸方向温度勾配(154/m)を持つ温度成層化現象が上下フローホール間で計算された。この定格負荷運転状態での温度成層化現象は,自然循環試験そのものとは直接的な関連は無いものの,炉内構造物に有意な熱応力を定常的に与える可能性がある。従って,出力上昇試験期間中の各原子炉出力状態においては,上部プレナム内に装荷が予定されている軸方向温度分布測定用プラグにより,当該領域に発生する温度成層化現象を的確に測定・評価する必要がある。(2) 原子炉スクラム後の自然循環移行過渡状態を模擬した解析より,温度成層化現象の発生によって上部プレナム内の有効混合容積が著しく狭められること,また上部プレナム内での局所渦の再配置によって原子炉出口配管部での温度降下過程に不連続挙動(コールドショックに続くホットショック)が発生すること等が明らかとなった。上記項目は,自然循環試験の成立性を判断するための1指標である系統熱過渡特性に直接影響を与えることから,出力上昇試験期間中の各種試験(中間出力状態からの手動トリップあるいは自然循環等の試験)から得られる測定データを用いた詳細な評価・検討が必要である。(3) 原子炉出口配管部における熱過渡の内,温度降下幅についてはAQUAコードによる結果が1次元動特性コードによる結果を上回るものの,温度降下率はAQUAコードの方が小さい
村松 壽晴
PNC TN9410 88-065, 123 Pages, 1988/06
単相多次元熱流動解析コードAQUAに組み込まれているFuzzy理論を用いた適応制御システムに学習機構(SOC、Self-Organizing Controller)を新たに付加した。この学習機構は、適応制御システムが実行した制御動作をシステム自身が性能評価し、その評価結果をシステムの制御ルールとして修正格納するような機能を持つ。このため、同一問題に対しては繰返し回数を重ねるに従がって最適な制御ルールが内部に自動的に構築され解析効率が向上する。例えば、定常計算問題において学習を実施し、過渡計算問題では学習された知識(制御ルール)を用いての高効率な計算が可能となる。定常計算問題においては、5回の学習により計算時間が学習を行なわない場合に比で約0.7倍に短縮された。また、過渡計算問題においては、解析精度を保持しつつ計算時間を学習を行なわない場合に比べ約0.9倍に短縮できる。以上得られた知見から、Fuzzy制御系の高度化につき、SOCが学習機構構築に有効であることが確認された。